その3 短期に回収可能な投資による省エネ方策
短期に回収可能な投資による省エネ方策とは、一般的に投資した額が省エネ効果によるコスト削減により、3〜5年程度で回収可能な対策をいいます。回収年は、ビルの運用形態により同じ対策でも異なりますが、一般的に現状の設備の効率が悪い場合や、運転時間の長いポンプ・ファン類のインバータ化といった対策は、回収年が短くなります。この場合は、ESCO方式が多く採用されています。
分類 | 主な省エネ方策 | 効果 |
---|---|---|
空調 | マニュアルインバータを設置し流量を調整する | ◎ |
冷却水・冷温水ポンプにインバータを設置し流量調整をする | ◎ | |
冷却塔の充填材は目詰まりの状況により交換する | ◯ | |
空調・給湯 | 蒸気弁・配管等の断熱を強化する | ◎ |
換気 | 駐車場換気設備に各種センターを設置し発停及び風量を制御する | ◯ |
給水・給湯 | 節水コマ・節水器具を採用する | ◯ |
女子トイレに擬音装置を設置する | ◯ | |
照明・電気 | 白熱灯を蛍光タイプに更新する | ◎ |
照明区分回路を使用区画に合せて細分化する | ◯ | |
既存照明器具の安定器をインバータタイプに変更する | ◎ |
■ESCO事業とは
ESCO(Energy Service Company)事業とは、顧客にエネルギーサービスを包括的に提供するものです。ESCO事業者は顧客に対し、省エネルギーに関する診断をはじめ、設計・施工、導入設備の保守・運転管理などの包括的なサービスを提供します。また、ESCO事業者は、従前のエネルギー使用環境を維持しながら達成される省エネルギー効果を保証し、達成された削減分の一部を報酬として受け取るものです。また、契約期間終了後の経費削減分は全て顧客の利益となります。
出典:財団法人省エネルギーセンター「オフィスビルの省エネルギー」